2010年9月2日木曜日

妊娠25週 自然に任せる


「いのちのために、いのちをかけよ」
「自然は完璧です。
 わしは無神論者ですが、神がやっているとしか思えん奇跡のようなお産を何度も目のあたりにして、
 自然にすべてをゆだねる生き方をするようになりました。ですから、あらゆることに自然であることをわしは求めます。
 そして必然によって、生まれるものにこそ、美しさと真実を感じます。 」(吉村医院・吉村正)

吉村医院のドキュメンタリー映画『玄牝(げんぴん)』が11月上旬に公開される。
観に行きたいな。
ホメオパシーの一件と共に、吉村医院の批判もかなりあるけど、
私はそれでも、できるかぎり自然にお産したい。
無痛分娩率90%のパリでは、こんなに本格的に自然の中で出産できるところはないだろうけど、
なるべく自然にお産することを手伝ってくれるという助産婦さんにお願いしてる。
とはいっても、日本では当たり前の自然分娩。
クリニックで、ちゃんとした設備もある。ただ、薬や器具を極力使わない。

「死ぬのは遺伝子が悪いので死ぬのが自然であり、医学の介入により助けられる生命は不自然だ」
という吉村先生の言葉は、ホメオパシージャパンの由井寅子さんの言葉と同じく、
一瞬ドキっとさせられるけど、私もそう思う。
自分のお腹に、大事な大事な、愛おしい我が子を抱えていても、そう思う。
無理やりには生かせたくない。
私たちの一部分であるこの子だけど、この子の、立派な生命としての人生はもう始まってる。
この子が選ぶべき道。
今まで二度のお別れを、受け入れられたからこそ、そう思えるようになった。

出産中や産後の体力消耗を気づかって、無痛分娩を薦められたりもするけど、
今の体に問題がないのなら、母親だけの勝手な選択はしたくない。
「無痛分娩は、痛みがないからリラックスして産めるよ」と言われるけど、
そんなに命の誕生って、楽にできること?
人間本来の、女性として持っているすごいパワーを使って、産むものじゃないのかな。
そして、出産は、母親だけの仕事じゃない。
赤ちゃんとの共同作業だということが、日に日に分かってきた。

こんなふうにパソコンに向かってる時も、お腹の中でぽこぽこキックしてる。
ポンっと返してあげると、またぽこぽこ返ってくる。
私ひとりだけのことじゃない。
ただ「赤ちゃんを産む」んじゃなくて、「一緒に出産し、誕生を喜んで、成長する」んだと思う。

毎晩、夜中に3、4回トイレに行くし、お腹が張らないように体勢を気をつけたり、
足が吊ったりするので、なかなか毎日熟睡できないけど、慣れてしまった。
それも産後のための予行練習なんだと思った。
赤ちゃんと一緒に、呼吸あわせて、心と体の準備。
自然にこうなるように流れてる。
だからその流れに逆らわずに、導かれるまま、赤ちゃんと一体になってやっていこうと思う。

私が思っていることがギュッと詰まった、大葉ナナコさんの文章。

「私がナチュラルなお産をすすめる理由は、
 「お産は痛いのを我慢することに価値があるから」ということではありません。
 その後の母子の健康や絆づくりの上でもメリットが多いからです。
 日本人が自然なお産を志向する傾向があることを「お腹を痛めてこそ母という締め付けだ」と
 捉える人もいるようですが、そういう意味ではなく、
 日本人は自然であることや普通であることの良さを感覚的にすんなり受け止めることができる民族なのではと思います。
 「機が熟したときに産まれる」という自然の摂理を重んじる。それは受け継いで行きたい感覚だと思います。

 もちろん、無痛分娩を選んでよかったという人もいるでしょう。
 お産はどちらが良くてどちらが悪いと簡単に言えるものではありません。
 命の誕生に「これさえ選べば大丈夫」ということはありません。
 ただ私はリスクを知った上で、後悔のないやさしい誕生を迎えて欲しいという思いだけです。
 
 お産を取り巻く状況は変化し、産科医や助産師不足も深刻化しています。情報も多種多様です。
 産む女性たちが、もっとセルフケアに対する意識を高めて、主体的に産むことを楽しめれば、
 人手不足のお産の現場の状況も改善に向かうかもしれません。
 「本来の身体能力を出し切ったお産」についての確かな情報が足りないせいで、もったいない選択をしないで欲しい。」

6 件のコメント:

  1. 本当にゆいさん、いい母親になれますよ…

    主体的に生むことを楽しめば産科医不足も解消に向かいますものね。
    これは医療現場全体に言えることですね。医者が不足しているわけではない。

    吉村医院の映画、見たいです!
    ホメオパシーの一件で、いろいろな人と意見交換し、すごく考えさせられました。
    日本人ってやっぱり自然と共に生きてきた民族だから
    自然分娩を受け入れられるのだと私も思います。

    本当に、妊娠出産は地球を守る基礎力であるとつくづく思います。

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  2. なんだかね2010年9月2日 14:44

    縄文時代の平均寿命は15歳でした。乳幼児も大人になることができずにゴロゴロ死んでいきました。それが、科学者達の絶え間ない研究の積み重ねのおかげで平均寿命も延び、乳幼児死亡率も下がり、あなたは無事大人になるまで生きることができ、人生を楽しむことができ、そして出産の仕方の選択さえできる。

    >「死ぬのは遺伝子が悪いので死ぬのが自然であり、医学の介入により助けられる生命は不自然だ」

    今の自分が安全な時代にいるからこそ言える言葉ですよね。アフリカの死んでいく子ども達を目の前にして、同じことが言えるのでしょうかね。

    そこまで自然主義なら、パソコンでインターネットできて、飢えずに好きな食べ物が食べられて、暑い日も寒い日も快適な家に暮らすことができて、好きな場所へすばやい交通手段を使っていく生活を捨てて、医学も何も介入しないアフリカの大自然の中でゼロから生活を始めれば良いと思います。

    別に自然分娩を批判しているわけではありません。ご自身がそこまで自然に対し良いイメージを抱くことができる背景に、いったいどのような人間の営みがや進化があったのか、自覚する必要があると思います。

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  3. チカちゃん
    ありがとう。
    いい母親に、なれるかな...それは不安。笑

    日本の医者不足は、患者に過保護すぎるからだと思う。
    こっちは、お腹が張るとか出血あるって言っても、「あ、そう」くらいだもの。
    じゃあ、自分で横になるとか、なんとかしなきゃなって思うの。
    日本の様に、即入院なんて めったにないよ。
    昨日も先輩ママさんとそんな話をしてた。

    本当に、妊娠を機に、いろんなこと、考えさせられます。
    食、健康、医療、自然環境、いろいろ考えるけど、妊娠出産は全部が繋がるとても大きな軸の部分にある気がする。

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  4. なんだかね さん
    コメントありがとうございます。
    もちろん人間の営みや進化のおかげで、今の私が健康で生きていられています。
    確かにネットに向かうことも、絶対に自然的ではないです。
    そうですね、"現代に生きた上で、豊かな環境の中で考える、より自然な出産"
    と言ったほうが正しいかもしれません。

    縄文時代の平均寿命が15歳だとは知りませんでした。
    たった60年前でさえ、平均寿命は50歳だったみたいですね。
    平均寿命がぐんと伸びた一番の理由は、「乳幼児の死亡率の減少」のようです。
    今は平均寿命ほぼ80歳以上。
    食糧にも恵まれ、便利で、健康でいられる、豊かで安全な世の中です。
    でもその人口増加によって、医療、食糧問題、貧富の差や、自然破壊、いろんな問題が増え続けています。

    このコメントをいただいて、いろいろ気づくことがあり、感謝しています。
    私は、ただ、急激に成長し続ける今が怖いのです。
    手に取って裏を見るとお金が絡んでいる、不自然なことが多すぎる世の中が怖いんです。
    この先のこと、子孫たちのことを考えると、私はこういう選択に結びつくんです。
    人間がここまで努力して進化してきた"成長"と、現代、これ以上を求める"成長"とは、
    どうも違う気がするのです。なんというか、"人間らしい"気がしない。
    縄文時代やアフリカの大自然で生活する人々とは、私は比べものになりませんが、
    だから、できるだけ、私の体が自然体でいられるくらいの環境で生きていたいと思うのです。
    便利なもの、不自然なものに過剰に頼りすぎず、できるだけ"人間らしさ"を失わないように。
    私の勝手なわがまま、自己満足なのかも知れません。

    自然分娩と言っても、いろんなスタイルがありますが、
    私は、"この生活の中で、できる限りの"自然分娩を望んでいます。
    どこからどこまでがそうなのかは、人それぞれだと思います。
    自宅出産、水中出産、助産師も付けない人、いろいろありますが、
    パリの無痛分娩率90%というのは、どうも共感できないのです。
    そしてこちらの女性は産後すぐに母乳をやめる方が多く、乳児の口にはおしゃぶりを突っ込んで、
    部屋は別々、早いうちから人に預ける、というスタイルが、どうも居心地が悪いのです。
    だったらフランスになぜいるのかと言われるでしょうが、
    そのことを知りに来たんだと私は思っています。
    日本と海外の出産事情があまりにも違うところも興味があり、
    今でも日本がほとんど自然分娩していることを尊重して、
    "日本人らしくいたい"と思い、こういった選択をしています。

    出産間際、私の健康状態がどうあるかによっても、もしかしたら変わってしまうかもしれません。
    ただ、気持ちだけでも、自分だけのことじゃなく、この先の人間の成長と地球のために、
    間違った方向に行かないようにという想いがあります。

    貴重なお言葉、本当にありがとうございました。

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  5. なんだかね2010年9月2日 20:25

    >私は、ただ、急激に成長し続ける今が怖いのです。

    分かります。私も、クローン人間ができたり、不老不死の薬ができたり、デザイナーベイビーができたり、地球を離れて違う星に住んだり・・・そんな人間の成長を考えると、とても恐ろしいです。

    でも最近あまりにも、「昔」や「自然」に対する幻想が大きすぎるのではないか、本当の「昔」や「自然」の現実を知らずに、表面的に憧れているだけではないか、と感じており、コメントさせて頂きました。

    >たった60年前でさえ、平均寿命は50歳だったみたいですね。
    >平均寿命がぐんと伸びた一番の理由は、「乳幼児の死亡率の減少」のようです。

    そうです。以前のコメント↓を拝見しましたが、

    >乳児にビタミンKを飲ませなくてはいけなくなった現代の健康状態自体、おかしいと思うのです。
    >昔の人のように、無理に摂取しなくても大丈夫なはずです。

    いつの時代の昔の人も、現代の人に比べて、健康状態は全然大丈夫ではありませんでした。昔の乳幼児は、ご自身が上で指摘されたように、とても死亡率が高かったのです。色々な病気が現代で増えた(ように見える)のも、昔に比べて現代の検査が厳密になったからです。現代をむやみに崇める気は全くありません。でも、「現代の方がおかしい」「昔・自然な状態が優れている」と決め付けるのも、とても危険だと思うのです。

    最近、それらのことが全く認識されないまま、幻想的で都合の良い「自然」や「昔」を安易に求める風潮になった気がします。そして、そんな私達をターゲットにした巨大な産業も確立されてきました。

    >手に取って裏を見るとお金が絡んでいる、不自然なことが多すぎる世の中
    「今」の世の中には勿論、「自然」「昔」に回帰しようとする風潮にも、私は同様のことを感じます。どちらの方にも冷静に目を向けていたいと思います。

    あなたのことを責めたいわけでも、個人攻撃したいわけでもありません。もし誤解させてしまったら、ごめんなさい。また、繰り返しになりますが、自然分娩を批判しているわけではありません。私も自然分娩です。

    出産前のデリケートな時期に思わず書いてしまい、とても申し訳なく思っています。母子ともに元気なご出産になりますよう、心から祈っています。

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  6. いえ、私のほうも、自分の考えに突っ走っていた部分はあります。
    ここで冷静に考えるきっかけができ、
    今後のためにもとてもいい機会になりました。
    ありがとうございます。

    「昔」や「自然」に対する幻想、知りもしないのに、そうですね。
    人が本来持つ生命力、直感力、治癒力などが、
    最近はどんどん鈍くなっている気がして、そういう言葉を頻繁に用いてしまっていました。

    せっかくここまで素晴らしく成長した人間が、
    この時代に産まれて、何か違う目的に流されて、
    破滅していくような気がして、たまらないのです。
    今までのご先祖さまのためにも、今後の地球のためにも、
    一人一人がちゃんと気づいて、
    人間らしい生き方を忘れないで欲しいし、
    できる限り、そうしていきたいと思っています。

    また何かお感じになることがあれば、いつでもご指摘ください。
    こういうコメントはなかなかいただけませんから、ありがたく思っています。
    お心遣いも、どうもありがとうございます。

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