2010年8月20日金曜日

赤ちゃんとビタミンK


先日、メインブログで、「ホメオパシーでのトラブルで乳児死亡」の
ニュースについて触れた、
健康の選択』という記事を書いたけど、未だに考えてしまう。

『山口新生児ビタミンK欠乏症出血死亡事故』(Wikipedia)
 ホメオパシー治療で新生児が死亡したとされる事故。
 厚生労働省は、ビタミンKの欠乏に陥りやすい新生児には出生直後1ヶ月以内に
 計3回のビタミンKを経口投与するよう指針で促しているにも関わらず、
 ホメオパシー団体に所属する助産師がビタミンKの代わりに「ビタミンKのレメディ」なるものを
 投与し、新生児はビタミンK欠乏症出血症で生後2ヶ月で死亡した。
 母子手帳には「ビタミンK投与」と偽って記載したために健診で医師も気づかなかった。

"そもそも、これは、「ホメオパシーが効かないから(死亡した)」と見せかけているけど、

一番の問題は、この「助産師さんが母親に説明してなかったこと」じゃないでしょうか。

母親はホメオパシーを与えられていたことを知らなかったのです。

乳児にビタミンKを飲ませなくてはいけなくなった現代の健康状態自体、おかしいと思うのです。

飲ませないといけないのは、母親の母乳に足りてないから。

妊娠中にバランスのいい食生活をしていたら、

昔の人のように、無理に摂取しなくても大丈夫なはずです。

まず乳児へのビタミンが足りないこと自体が、母親の責任なんじゃないでしょうか。"


と綴ったのだけど、私もこれから母乳で育てる身。
私の出産する産院は、パリでも自然派なので、次回、担当の助産婦さんに聞いてみようと思う。
やはり赤ちゃんには、できる限りビタミンもたっぷりの母乳をあげたいので、いろいろ調べてみた。
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赤ちゃんとビタミンK

1 新生児は体内にビタミンKの備蓄が少ない
ビタミンKは、血液を固めて傷口を防ぐ凝固因子をつくるのに必要なビタミンです。
不足すると赤ちゃんに出血がおこりやすくなります。

・生まれたての赤ちゃんはビタミンK不足をおこすことがある。
 生まれたばかりの赤ちゃんは、もともと体内にビタミンKの蓄えが少ないのです。
 そのうえ、腸内細菌叢が十分かたちづくられていないので、腸内細菌によるビタミンK2の供給も期待できません。
 また、ビタミンKを吸収する能力も低いのです。そのため、出生直後に乳を飲む量が少なかったり、
 母乳中にビタミンKの含有量が少なかったりすると、ビタミンK不足になりやすいわけです。

2 母乳で育てるときに注意したいこと
赤ちゃんがビタミンK不足になると、とくに困るのは頭蓋内(脳内)出血をおこすことがあることです。
この病気は、生後1か月ころにおこりやすい重い病気で、乳児ビタミンK欠乏性出血症と呼ばれています。
この病気は、人工栄養児よりも母乳で育てられた赤ちゃんに多くみられていました。
これは、母乳中にビタミンKが不足がちのことが多いことが関係していると考えられています。
しかし、適切な時期に赤ちゃんにビタミンKを補給すればその大部分は予防できます。
ビタミンKの服用については、医師の説明をよく聞いてください。

・妊娠中からバランスのよい食事を十分にとることが大切
 母乳は赤ちゃんにとって、いちばんよい栄養です。
 母親が健康で母乳が十分に出ていれば、生後5か月ごろまでは母乳だけでじょうぶに育ちます。
 ビタミンKを多く含む食品をあまり食べていない母親では、母乳中のビタミンK含有量が少なくなるといわれています。
 ビタミンKは、緑色野菜、海藻、納豆、チーズその他、多種多様な食品に含まれますので、
 妊娠中からバランスのとれた食事を十分にとることが大切です。
 このような配慮をすれば、赤ちゃんを育てるうえでの心配はいりません。

ビタミンKを上手にとる

1 食品中のビタミンK含有量

ビタミンKにはK1とK2の2種類があり、ビタミンKは、ほうれんそうなど緑色の濃い野菜に多く含まれています。
わかめ、ひじきなどの海藻類や、植物油なども、ビタミンK1の供給源となります。
ビタミンK2は、微生物により産生されるものなので、ビタミンK2を含む食品の数はそうたくさんありません。
細菌を利用して発酵させる納豆やチーズなどの発酵食品と、一部の乳製品などに含まれています。
特にビタミンK2の含有量が多いのは納豆ですが、これは発酵に用いる納豆菌がビタミンK2を産生する力が強いためです。
ビタミンKをとるためには、発酵食品と緑葉野菜を上手に利用する必要があります。

2 ビタミンK2と腸内細菌
腸内には多種多様の細菌がすみついています。これらの腸内細菌は、私たちの体内でビタミンK2をつくります。
腸内細菌の種類や数は、年齢により、また同じ人でもその人の食生活や健康状態によっても変化します。
したがって、腸内細菌によってどの程度のビタミンK2がつくりだされ、それがどの程度利用されているかは、いちがいにいえません。
離乳期以後の人では、1日に1〜1.5mg(1000〜1500μg)が供給されているともいわれますが、
吸収率(利用率)などくわしいことは不明です。

3 ビタミンKの吸収
食品として摂取したビタミンKは、脂溶性ビタミンなので、その消化・吸収はほかの脂質と一緒に行われ、
脂肪に溶けたかたちで小腸から吸収されます。吸収されたビタミンKは肝臓に運ばれたのち、体内の組織へと運ばれていきます。
腸管からの吸収率は、食物中に含まれる脂肪の量とか、その人のからだの状態などによって大きく影響されるといわれています。
一方、大腸内で腸内細菌によってつくられたビタミンK2については、そのまま大腸から吸収されるようです。
しかし、それがどのくらい吸収され利用されるかは、よくわかっていません。

4 ビタミンKの必要量
現在、ビタミンKの栄養所要量が定められているのは、米国とソ連だけです。
米国のビタミンK栄養所要量は、必要量の半分を食事から摂取し、
あと半分は体内で腸内細菌がつくるものを利用するという考え方で計算されています。
また、すべてを食事から摂取することも考慮にいれて、所要量に幅をもたせ、成人1人1日当たり、70〜140μgとしています。
わが国では所要量は定められていませんが、必要量は成人でほぼ1日当たり100μg程度を目安にすればよいと考えられています。

おわりに
通常は、離乳期以後の人では、ビタミンKの必要量は、食事からの摂取と、
腸内細菌の合成したものを直接吸収することによって満たされていますので、欠乏症はほとんどみられません。
しかし、最近、骨粗鬆症をおこしている老人では、血液中のビタミンKが少なくなっていることがわかりました。
また、ビタミンKを与えると骨の強度が回復することも知られてきました。
老人になると骨がもろくなりやすいので、ビタミンKの多い食品を食べることを心がけたいものです。
問題になっている新生児・乳児のビタミンK欠乏性出血症も、予防対策が進み、最近では激減の傾向にあります。
母乳栄養児に比較的多く発生するからといって、いたずらに母乳哺育に不安をいだくことは賢明ではないでしょう。
ふだんから、また妊娠・授乳中は特に気をつけて、納豆などビタミンKを多く含む食品を食べるようにしましょう。

『参考記事』→ ビタミンKをかんがえる

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